「子どもに継がせるつもりだったが、本人が乗り気でない」という相談から始まることが多い。事業承継は、経営者にとって最も個人的な経営判断の一つです。選択肢を整理しないまま、M&A仲介会社の勧めるまま売却に進んでしまうケースを、残念ながら複数見てきました。

M&A(第三者への売却)の現実

M&Aは最も速く動ける選択肢ですが、「速い」のは買い手が見つかった場合の話です。企業価値の算定、買い手候補のスクリーニング、デューデリジェンス、最終交渉まで、通常6ヶ月〜1年半かかります。希望売却価格と市場価格のギャップに直面するケースも多く、EBITDA倍率で算定した価格が想定より低いことに驚くオーナーは少なくありません。M&A仲介会社は成功報酬で動くため、成約を急かすインセンティブがあります。独立したアドバイザーを挟むことをお勧めする理由の一つです。

MBO(経営陣による買収)の可能性と限界

既存の経営幹部が会社を買い取るMBOは、事業の継続性という点では最も自然な移行です。ただし、資金調達が最大の障壁になります。金融機関からのLBOローン、オーナーへの分割払い(アーンアウト)、ファンドの活用など、複数の資金調達手段を組み合わせることが多い。幹部に買収の意思と能力があるかどうかを、早い段階で率直に確認することが重要です。

親族外承継(後継者育成)の時間軸

社内の有望な人材を後継者として育成する親族外承継は、最も時間がかかりますが、オーナーが引退後も会社の文化や取引関係を維持しやすい選択肢です。後継者候補の特定から、経営権の移譲まで、3〜5年の時間軸で考える必要があります。株式の移転方法(贈与・売買・信託)によって税務上の扱いが異なるため、税理士との連携が不可欠です。

三つの選択肢を並べて比較する意味

事業承継の相談で最初にすべきことは、三つの選択肢を並べて、それぞれの条件・時間軸・リスクを比較することです。最初から「売却しかない」と結論を出してしまうと、他の選択肢の検討が不十分になります。Vault Dexcoreでは、M&A仲介会社とは独立した立場で、オーナーの状況に合った選択肢を整理するところから始めます。

承継を考え始めるタイミング

事業承継は、「そろそろ考えなければ」と思ってから動き始めると、選択肢が狭まっていることが多い。理想的には、引退の5〜7年前から選択肢を整理し始めることをお勧めします。健康上の理由や突発的な事情で承継を急がなければならない場合でも、まず現状の整理から始めることで、最善の選択肢を見つけやすくなります。

事業承継は、経営者一人で抱え込むには複雑すぎる問題です。まず選択肢を整理したいという段階でも、無料相談のご予約からお気軽にご連絡ください。